大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

高松高等裁判所 昭和43年(少ハ)2号 決定 1968年8月06日

本人 G・Y(昭二三・七・二五生)

主文

本件申請を却下する。

理由

一、本人は、昭和四一年一〇月○○日窃盗未遂、暴行、窃盗、恐喝保護事件により当裁判所において特別少年院送致の決定を受け新光学院に収容され、昭和四三年七月二五日をもつて満二〇歳に達するものであるところ、同年七月一〇日新光学院長から収容継続の申請がなされた。

二、そこで新光学院長加藤亮一作成の収容継続理由書および同人の意見、当裁判所調査官佐々木芳文作成の調査報告書および意見書ならびに本人の供述等を綜合して判断すると、本人は新光学院内において再三再四喧嘩、喧嘩謀議、職員暴行未遂、喫煙、同僚傷害などの反則行為を繰返していること、現在の処遇段階も退院させるのに不十分であることなどの事実から本人の犯罪的傾向が未だ矯正されていないことが認められるが、他面、本人が本件申請前になした同僚傷害事件について昭和四三年七月一九日山口家庭裁判所岩国支部において検察官送致決定を受け、昭和四三年七月二三日山口地方裁判所岩国支部に起訴された事実ならびに本人の犯罪歴および新光学院内における矯正教育の経過などからみて、本人の収容を継続してもその犯罪的傾向の矯正を期待することができず、むしろ右刑事事件について刑事処分をするのが相当であると考えられるので、結局、本人の収容を継続すべき合理的根拠がない。

三、よつて本件申請を理由がないものと認め、主文のとおり決定する。

(裁判官 板坂彰)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例